副業で青色申告をするメリットは?利用するための条件と合わせて解説

2023年08月10日

副業で得た収入を確定申告する際に、青色申告にするとさまざまなメリットが得られるという話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。しかし、青色申告はどのようなものなのか、実際にどのようなメリットがあるのかを答えられる人はあまり多くありません。

そこでこの記事では、青色申告とは何か、副業の収入にも青色申告が必要なのか、利用するメリットや条件について解説していきます。白色申告との違いなども説明していくので、ぜひ参考にしてみてください。

青色申告とは

働いて稼ぎを得ている人は、条件次第で確定申告を行わなければいけません。確定申告は、所得税を正しく納めるために、1年間の所得を申告する目的で行うもので、行わないとペナルティが課される場合もあります。

青色申告は、このような確定申告を行う際の申告方法の一種です。複式簿記で記帳をしなければいけないため簿記の知識が必要になる、開業届と青色申告承認申請書を提出しなければいけないなどのデメリットがあります。しかし一方で、最大65万円の控除が受けられるなど、メリットが多い方法でもあります。青色申告を行うメリットについての詳しい内容は、後述の「青色申告をするメリット」の見出しをご覧ください。

白色申告との違い

確定申告の申告方法には、青色申告の他にもう一つ、白色申告という方法があります。白色申告は青色申告とは違い、記帳方法が比較的簡単で手間がかからないという点がメリットです。

しかし、青色申告で受けられるような控除は得られないため、しっかりとメリットデメリットを把握した上でどちらが自分に合っているかを選んでみてください。副業での稼ぎがあまりない方や、本業が忙しくて確定申告の事務作業にあまり時間を取られたくないという方は、白色申告を選ぶのも良いでしょう。

副業の確定申告はいくらから必要?

副業で得た収入の確定申告が必要になるのは、所得が20万円を超えた場合です。収入から経費などを差し引いた所得が20万円を超えた場合、本業の勤務先で行う年末調整とは別に、自身で確定申告を行わなければいけません。

ただし、副業の所得が20万円を超えない場合でも、確定申告をしたほうが良いケースもあるので、注意してください。例えば、副業で得た収入が源泉徴収されている方は、確定申告を行うことで、納めすぎた税金が返ってくる可能性があるのです。また、医療費控除などの年末調整で対応できない控除の申告をする場合も、確定申告が必要になります。

青色申告をするメリット

青色申告は複式簿記で記帳をしなければいけないなどのデメリットがある一方で、さまざまなメリットがあると解説しました。ここでは、青色申告をする主なメリットを3つ紹介していきます。

  • 青色申告特別控除が受けられる
  • 最大3年間の赤字を繰り越せる
  • 家族への給与も経費になる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

青色申告特別控除が受けられる

先ほども少し解説しましたが、青色申告では、条件次第で最大65万円の控除を得られます。控除が受けられればそれだけ税金の額を抑えられるので、節税をしたい方はぜひ控除を受けることを検討してみてください。最大65万円の控除を受けるための条件は、下記の通りです。

  • 事業所得、もしくは不動産所得がある(事業的規模)
  • 複式簿記で記帳している
  • 青色申告決算書を添付している
  • 申告期限内に申告している
  • e-taxを利用している

上記の条件の中で、e-taxの利用だけができていない場合の控除額は55万円となります。これらの条件に当てはまっていない場合でも、青色申告をしていれば10万円の控除を得ることが可能です。

最大3年間の赤字を繰り越せる

青色申告では、副業で損失が出た場合に繰り越しができるというメリットもあります。所得税は年間の所得に対して課されるため、所得がマイナスであれば税金が発生することはありません。

また、損失が出た場合は最大3年間繰り越せるので、翌年の所得がプラスになったとしても差し引かれます。副業で安定した収益が得られるまでの税金による支出を抑えるためにも、青色申告は重要といえるでしょう。

家族への給与も経費になる

青色申告では、家族に対して支払う給与も経費として計上することが可能です。白色申告では基本的に経費として認められていませんが、配偶者は86万円、その他親族は50万円の事業専従者控除を適用できます。

青色申告では、妥当な金額であれば全額経費として計上できます。家族間で給与の支払いがある方は、青色申告をして所得を抑えるのがおすすめです。

青色申告が適用される所得の種類

所得と一言でいっても、その種類は下記の10の区分に分けられています。青色申告は、すべての所得に対して行えるものではないので、申告をする際は注意が必要です。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

この中で、青色申告が適用される所得は「事業所得」「山林所得」「不動産所得」の3種類です。副業で得られる所得は雑所得に含まれる可能性もあるので、自分の得ている所得がどの区分になるのかを事前に確認しておくようにしましょう。

アルバイトやパートで得た給料は「給与所得」に含まれるため、青色申告をすることはできません。上記の3種類以外の所得を得ている場合は、白色申告をするようにしてください。

青色申告を利用する条件

青色申告は、適用される所得が限られていること以外にも、利用するための条件があります。ここでは条件を2つ紹介するので、参考にしてみてください。

  • 開業届・青色申告承認申請書の提出
  • 記帳・帳簿書類の保管

それぞれ詳しく見ていきましょう。

開業届・青色申告承認申請書の提出

冒頭でも少し触れましたが、青色申告では開業届と青色申告承認申請書の提出が必要になります。開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)は、青色申告をする場合でも白色申告をする場合でも開業後1ヶ月以内に提出するものです。

開業届は提出をしなくてもペナルティを受けることはありませんが、青色申告をする場合は提出しなければいけません。

また、青色申告をする際は、青色申告承認申請書の提出も必要になります。青色申告をするする年の3月15日までに、税務署に提出をするようにしてください。開業をした年の場合は、開業から2ヶ月以内に提出をしなければいけません。

記帳・帳簿書類の保管

確定申告を行う際には、領収書類や帳簿類を保管しておかなければいけません。白色申告の場合の保存期間は、領収書類は5年、帳簿類は7年となっています。しかし、青色申告の場合は、領収書類も帳簿類も7年間保管しておくのが原則です。

平成25年までは、白色申告で領収書類や帳簿類の保管が必要なのは、前々年分もしくは前年分の事業所得などの金額の合計が300万円を超えた方に限られていました。そのため、青色申告で記帳・帳簿書類の保管をしなければいけないというのはとても手間がかかるというイメージがあったのです。現在は白色申告でも長期間の保管が必要なので、大きなデメリットとはいえないでしょう。

副業で得た所得の確定申告のやり方

最後に、副業で得た所得の確定申告を行う方法について説明していきます。これまでに解説した通り、青色申告で行う場合は、まずは開業届を提出する、請求書や領収証などを保管しておくというのを忘れないようにしてください。

これらの準備が完了している方は、以下の手順で行っていきましょう。確定申告の方法は、簡単にまとめると以下の3ステップです。

  • 確定申告に必要な書類をまとめる
  • 必要書類に記入する
  • 必要な添付資料を提出する

所得の種類などによって必要な書類は多少異なりますが、基本的に必要になるのは下記の書類です。

  • 本人確認書類
  • 確定申告書
  • 所得金額が分かる書類
  • 各種控除証明書

これらの書類を用意したら確定申告書を作成して、税務署に提出をします。税務署への提出方法は、e-Tax、郵送、持ち込みの3種類があるので、自分に合った方法を選択してください。

確定申告のやり方については、「副業の確定申告は必要?必要な基準と確定申告の方法を解説」の記事でより詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。

まとめ

青色申告は確定申告を行う際の申告方法の一種です。副業で得た所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要になりますが、その際に青色申告を選択すると、下記のようなメリットが得られます。

  • 青色申告特別控除が受けられる
  • 最大3年間の赤字を繰り越せる
  • 家族への給与も経費になる

複式簿記で記帳をしなければいけないため簿記の知識が必要になる、開業届と青色申告承認申請書を提出しなければいけないなどのデメリットもありますが、大きなメリットを得られるのも事実です。

白色申告を選ぶことも可能なので、メリットデメリットを把握した上で自分に合う方法を選んで確定申告を行うようにしてください。

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